XTAP(eXpandable Transient Analysis Program)は、電力系統をはじめとする電気回路の過渡現象を波形レベルで解析する瞬時値解析プログラムです。瞬時値解析プログラムが従来から扱ってきた過電圧や過電流、異常共振の解析のほか、直流送電システム(HVDC)やFACTS機器などパワーエレクトロニクス機器を含む系統の解析や再生可能エネルギーの連系に伴う各種電力品質の解析を行うことが可能です。
XTAPは、解析対象となる電力系統を直感的な操作で構築できる、使い勝手の良いグラフィカル・ユーザ・インターフェースを備えるだけでなく、計算精度、数値安定性の高い回路計算アルゴリズムを採用していることが特長です。また、最新の知見を反映した数多くの機器モデルや解析技術が搭載されています。
日本国内ではすべての電力会社、一般送配電事業者に加え、多くの電力機器メーカや大学・高専等学術研究機関がXTAPを活用しています。
直感的な操作で電力機器モデルの配置、接続を行うことができ、解析対象となる系統を簡単に作成できます。制御系のための制御ブロックも豊富に用意されています。解析結果を確認するためのグラフ描画プログラムや送配電線・地中ケーブルの線路定数を計算する専用プログラムも搭載しています。
XTAPでは、電力系統(電気回路)各部の電圧や電流の計算だけでなく、ブロック線図の形式で信号の代数式や微分方程式の演算が可能な、回路方程式ソルバとは独立した制御系ソルバが利用できます。ゲインや一次遅れ、各種算術演算(三角関数や平方根など)ブロックといった基本的な部品から、PI制御器、フリップフロップ、立ち上がり検出、位相検出など、100以上のさまざまな制御ブロックが利用できます。これらを用いることで、保護リレーの制御系やパワーコンディショニングシステムの制御系、回転機の運動方程式の計算などを制御ブロックの組み合わせで表現できるほか、計算により得られた信号を回路側と相互にやり取りすることで、複雑な電力機器モデルやシステムを構築することができます。
図 制御ブロックの組み合わせにより構築されたパワーコンディショニングシステムの制御系の例
XTAPの解析技術や搭載モデルに関する技術的な内容は上記資料以外にも、電気学会などの学術論文や、電力中央研究所が発刊する研究報告書(電力中央研究所報告)にも多数報告されております。電力中央研究所報告は電中研のホームページから無償でダウンロードできます。