電力系統をはじめとする電気回路の過渡現象を波形レベルで解析するプログラム(瞬時値解析プログラム)は、これまで海外で開発されたプログラムが用いられてきましたが、 太陽光発電連系用インバータなど、パワエレ機器を含む系統解析の高精度化、国内の電力機器モデルの追加、解析ニーズへの柔軟な対応などを目的に、 XTAPがこの分野初の国産の瞬時値解析プログラムとして開発されました。
2009年にVer. 1をリリースしたXTAPは、各種電力機器モデルの追加や解析アルゴリズムの改良を重ね、2014年にはVer. 2をリリースし、国内における標準的な瞬時値解析プログラムとなりました。 Ver. 2シリーズについては、継続的にバグフィックス等を進めております。
また電力中央研究所では、電気事業用のプロフェッショナル版として、 電力会社向けに解析性能やグラフィカル・ユーザ・インターフェースの機能を大幅に向上したVer. 3 Proシリーズを開発・提供してきておりますが、 2021年にはVer. 3 Proシリーズをベースとした一般向けのVer. 3 Enterpriseシリーズ、大学等教育機関向けのVer. 3 Academicシリーズを新たに提供することになりました。
XTAPの高機能版にあたるVer. 3では、表に示すようにさまざまな機能が追加されています。 三相の電力線を一本の配線で描画できる三相一括配線機能や、ユーザが作成した部品の内部を隠蔽化する部品暗号化機能、回路素子や制御ブロックのパラメータの最適値を自動的に探索するパラメータ最適値自動探索機能などがあります。 それ以外にも、電力系統・電気回路を作図するために便利な機能が多数組み込まれています。
また、電力機器モデルや例題も追加されています。 洞道布設ケーブルのモデルや三相一括型GISモデルのほか、残留磁束を考慮可能な励磁インダクタンスモデル、数値安定性を向上した三巻線変圧器モデルなどがあります。 また、電圧/電流信号に含まれる周波数成分を解析して出力する専用部品もVer. 3シリーズには組み込まれています。